無敵の人とは?自己愛性人格障害の特徴
無敵の人とは、ネットスラングで、社会から孤立して失うものがなく、犯罪を思いとどまる理由を持たない人のことです。
無敵の人は、些細な出来事や思い込みによって、個人や社会に対して強い恨みを持った心理状態になりやすいです。
強い執着を持って個人を逆恨みし復讐する事件や、社会全体を憎んで無差別巻き込み事件を起こす傾向があり、犯罪予備軍と呼ばれることもあります。
大きな事件を起こす前から、近所や職場、家庭内でトラブルを起こし、引きこもりとなっていることが多いです。
無敵の人は、自己愛性人格障害(NPD:自己愛性パーソナリティ障害)という病気の可能性が高いです。
自己愛性人格障害は、自己中心性、被害妄想、執着心を特徴とする精神疾患です。
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現在、無差別殺傷や巻き込み放火、ストーカー殺人、隣人トラブル殺人といった、逆恨み型の事件が社会問題となっています。
そういった事件の犯人は、無職、独身、友人がいないといった共通点を持つことが多く、そのようなタイプの人を「無敵の人」や「予備軍」と呼ぶ動きが出ています。
無敵の人が発生する原因として、セーフティネットの乏しさや人間関係の希薄化をあげる人もいます。
しかし、一時的に無職になった人や、友人を作らないタイプの人でも、ほとんどは常識・良識を持った普通の人であり、犯罪志向ではありません。
無職であるとか友人がいないというだけで、「無敵の人」とレッテル貼りするのは、大きな間違いです。
社会から孤立したから犯罪を引き起こすのではなく、元々人間性に問題がある人は、結果的に社会から孤立することが多く、その人間性からトラブルや事件を起こすのです。
なぜ、無敵の人と呼ばれるような思考がズレた人が発生するのでしょうか?
無敵の人の多くは、自己愛性人格障害(NPD)という精神疾患であると考えられます。
例えば、相模原障害者施設殺傷事件の植松聖が自己愛性人格障害だと診断されています。
また、京都アニメーション放火殺人事件の青葉真司被告について、検察が「被告の自己愛や人のせいにしやすいパーソナリティから、自分ではなく京アニが悪いと思い込んで犯行に及んだ」と主張しています。
自己愛性人格障害者の中で特に症状が重い人が、結果的に社会から孤立し、歪んだ思考をさらに悪化させたケースが、無敵の人といえるでしょう。
自己愛性人格障害は、溺愛や放任主義といったズレた子育てが原因で発症する精神疾患です。
自己愛性人格障害の症状には、自己中心性、被害妄想、執着心などがあります。
子供の頃から、こだわりが強い、癇癪を起こす、極端に傷つきやすい、ワガママである、プライドが高い、といった特徴が見られることが多いです。
自身の行動を正当化し、罪悪感や反省の気持ちを持たないため、自己愛性人格障害は治らない病気だと言われています。
【目次・無敵の人の特徴】
それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。
自己中心性
無敵の人は、自己中心性が高く、身勝手な理由でトラブルや事件を起こすことがあります。
自己中心性の高い人は、自分の思い通りにならないと癇癪を起こしたり、不満を溜め込んだりします。
また、自分の都合や感情のために、平気で周囲に迷惑をかけます。
例えば、家賃滞納や横領、不法投棄、騒音トラブル、ゴミ屋敷、マナーやルールを守らないなどです。
自分のことばかり考え、身勝手な行動をとるため、人から嫌われたり避けられたりします。
また、自己中心性の強い人物には、他者の気持ちを想像できない共感力の欠如が見られることが多いです。
他者の痛みや辛さを想像できないことから、他者に危害を加えることへの心理的ハードルが低いのです。
無敵の人は、自己中心性と共感力欠如から、理解不能な独特な動機で大事件を起こすのです。
自己愛性人格障害の代表的な症状に、自己中心性と共感力の欠如があります。
利己的な行動ばかりとり、他者に対する思いやりに欠ける人間性となります。
ワガママやトラブルメーカーは、単なる性格の問題ではなく、れっきとした病気の症状なのです。
結果として、学校や職場の人間関係で失敗し、社会から孤立した無敵の人になりやすいのです。
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被害妄想
無敵の人は、被害妄想が強く、何かあると自分が被害者だと捉え、自己防衛のつもりで事件を起こすことがあります。
被害妄想の強い人は、日頃から疑り深く、物事を被害的に認識するネガティブ思考です。
若い頃から被害者意識が強く、年を取るにつれて悪化し、被害妄想を発症するケースが多いです。
被害妄想の内容は、財布を盗まれた、合鍵を作られて家に侵入された、といった身近なものから、電磁波攻撃や集団ストーカーといった飛躍したものまであります。
神経質であり、たいして大きくない生活音に過敏に反応し、騒音被害を訴えることが多いのも特徴です。
被害妄想のきっかけは、勘違いや思い込み、単なる無知なのですが、本人はそれを認めません。
そして、自分に被害を与えている相手に仕返しをしてやる、という考え方をすることが多いです。
さらに、陰謀論を信じやすく、政府や大企業、マスコミを悪だと認識することもあります。
自己愛性人格障害の代表的な症状に、被害妄想があります。
自分のミスや偶然起きた出来事を、誰かから被害を受けたと考える、認知の歪みの一種です。
被害妄想だと指摘する人を敵視し、賛同する人だけを信用するため、詐欺のカモにされるケースもあります。
心療内科を勧められることにも被害感を抱くため、受診することなく、症状が悪化する一方になります。
猜疑心の強さから人との交流を避けるため、社会から孤立した無敵の人になりやすいのです。
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執着心
無敵の人は、執着心が強く、一方的な復讐のために事件を起こすことがあります。
執着心の強い人は、こだわりや思い込みが強く、周囲にそれを押しつけます。
学校や職場のルールを守ろうとしないクセに、マイルールを周囲に押しつけようとするため、社会不適合者になりやすいです。
コロナ禍において、少しでも感染を抑制するためにマスク着用のルールが適用される中、反マスクを貫こうとする人が分かりやすい例でしょう。
また、元交際相手や配偶者、一方的に好意を寄せた相手などに執着して、ストーカーになるケースも多いです。
根拠なく自分が正しいと盲信し、それに反する相手や社会がおかしい、という考え方しかできないのです。
自己愛性人格障害の代表的な症状に、執着性があります。
こだわりが強い障害には発達障害もありますが、発達障害のこだわりは自身の行動に対するものであり、他者に押しつけることはありません。
自己愛性人格障害者は、自分だけでなく他者にも、こだわりやマイルールに従わせようとします。
さらに、自分の思い通りにならなかった相手に執着し、ペナルティを与えようとします。
自分のこだわり通りにならない社会に強い不満を抱くため、社会から孤立した無敵の人になりやすいのです。
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まとめ
無敵の人と自己愛性人格障害について解説しました。
無敵の人は、重度の自己愛性人格障害である可能性が高いです。
自己愛性人格障害は、大人になってからなる病気ではなく、幼少期に発症する病気です。
学校や職場など、周囲の大人に恵まれれば、軽度の思考のズレに止まる可能性があります。
しかし、家庭にも外の大人にも恵まれないと、重症化して社会に適応できないトラブルメーカーに育ってしまうのです。
あなたの周りに、無敵の人はいませんか?
自己愛性人格障害は治らない病気なので、説得や和解は不可能だと思った方がいいでしょう。
無敵の人を刺激すると、逆恨みされ、復讐のターゲットとされてしまいます。
近隣の無敵な人とトラブルになった場合は、引っ越すなどして、逃げるのが最善の対処法です。