誹謗中傷する人の特徴・自己愛性人格障害
ネット中傷とは、SNSやネット掲示板を利用したインターネット上の誹謗中傷のことです。
ネット中傷は、モラハラ型、アンチ型、嫉妬型、陰謀論型、陰口型の5つのタイプに分類することができます。
ネット中傷は、単独犯だけでなく、大勢が加担してターゲットのアカウントを炎上させるケースが多く、弱い者イジメの側面があります。
また、SNSのダイレクトメッセージを利用して、直接相手に攻撃的なメッセージを送るケースも起きています。
ネットで誹謗中傷する人は、相手の気持ちを想像できないという特徴から、自己愛性人格障害(NPD:自己愛性パーソナリティ障害)という病気の可能性が高いです。
自己愛性人格障害は、自己中心性や共感力欠如を特徴とする精神疾患です。
関連記事:「イジメとは?自己愛性人格障害の特徴」
現在、ネット中傷は大きな社会問題となっています。
ネット中傷の問題点は、匿名性によるハードルの低さと、拡散性による影響力の大きさです。
匿名という安全圏から、相手の名誉を傷つけるデマや、イジメのような言葉を発信し、それに同調する人によって広く拡散されてしまうのです。
ネット中傷は、スマホがあれば誰でも手軽にできてしまうハードルの低さが特徴です。
しかし、誰でもできるからといって、誰でもする訳ではありません。
健全な感覚を持った普通の人は、SNSを利用していても誹謗中傷などしないのです。
では、どのような人がネット中傷をするのでしょうか?
自己愛性人格障害は、ネット中傷をしやすい代表的な病気です。
なぜなら、自己愛性人格障害は、モラハラや陰口を好む気質だからです。
リアルでパワハラやイジメをしている自己愛性人格障害は、ネット上でも同じことをしてしまいます。
リアルで横暴なコミュニケーションをとっている人は、ネットでも横暴な「ネットチンピラ」となるのです。
また、自己愛性人格障害者は、リアルでは大人しく、ネットでは攻撃的になる「ネット弁慶」も多いです。
自己愛性人格障害によるネット中傷には、以下の5つのタイプに分類できます。
【目次・ネット中傷のタイプ】
それぞれのタイプについて、解説していきたいと思います。
モラハラ型
モラハラ型のネット中傷は、自分の考えや価値観を押し付けてバッシングするものです。
SNSでの誹謗中傷の約6割が、モラハラ的な内容だと言われています。
例えば、「もっと練習すべき」といった説教的なコメントや、「こういう奴はダメ」といった人格否定的なコメントが該当します。
マイルールに基づいて誰かの言動を非難する「正義マン」や「自粛警察」も、このタイプに入ります。
モラハラ型のコメントは、上司目線や評論家目線、お客様目線の高圧的な文章が特徴です。
自論自説やマイルールをぶつけて満足感を得るのが目的のため、ターゲットは誰でもよく、常にターゲットを探しています。
モラハラ型のネット中傷をする人は、「自分は正しい意見を発信しただけ」と考えており、罪悪感を持ちません。
自己愛性人格障害は、自己中心性が高く、自分の価値観を押し付けるという特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害者は、モラハラ型のネット中傷をするリスクが高いのです。
関連記事
「モラハラとは?自己愛性人格障害の特徴」
「正義マンとは?自己愛性人格障害の特徴」
「自己中心性とは?自己愛性人格障害の特徴」
アンチ型
アンチ型のネット中傷は、特定のターゲットに執着してバッシングするものです。
特定の職業(アイドルなど)や、特定のグループ、特定の個人をターゲットとします。
ターゲットを攻撃することが目的のため、コメントの内容にこだわりはなく、何でも攻撃材料とします。
ターゲットに対する容姿の悪口や人格否定、憶測によるデマなどのコメントを日常的に投稿します。
特定の人種や性別に対する差別的なコメントを繰り返し発信する「差別ツイート」も、このタイプに入ります。
歪んだ好意によって執着し嫌がらせをするストーカーに対して、アンチは嫌悪によって執着し嫌がらせをしているのです。
アンチ型のネット中傷をする人は、「叩かれる人が悪い」と考えており、罪悪感を持ちません。
自己愛性人格障害は、執着心が強く、ストーカーやアンチになりやすいという特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害者は、アンチ型のネット中傷をするリスクが高いのです。
嫉妬型
嫉妬型のネット中傷は、有名人やインフルエンサーなどの目立っている人をバッシングするものです。
社会的に成功している有名人と自分を比べて嫉妬し、足を引っ張りたいという心理になるのが原因です。
悪口コメントや辛口コメントを書いたり、邪魔をするために根拠のない悪評を流したりします。
嫉妬型のネット中傷をする人は、「成功している人は一般人のコメントなんか気にしないでしょ」と考えており、罪悪感を持ちません。
自己愛性人格障害は、承認欲求が高く、自分以外の人が目立つのが許せないという特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害者は、嫉妬型のネット中傷をするリスクが高いのです。
関連記事:「承認欲求とは?自己愛性人格障害の特徴」
陰謀論型
陰謀論型のネット中傷は、陰謀論を信じ込み、それに基づいたバッシングをするものです。
特定のターゲットを悪だと信じ込み、自分はそれに騙されない賢く正しい人間だと盲信している状態です。
「悪の思い通りにさせない」という正義感から、陰謀論を発信する活動を熱心に行います。
例えば、陰謀論的なツイートを積極的にリツイートし、拡散させようとします。
また、事件性のある話題に対して、証拠もなく、「身近な人物が犯人なのではないか」、「被害者にも落ち度があったのではないか」といった無責任なコメントを書く「探偵ごっこ」も、このタイプに入ります。
陰謀論型のネット中傷をする人は、「自分は真実を伝えているだけ」と考えており、罪悪感を持ちません。
自己愛性人格障害は、猜疑心が強く、陰謀論を信じやすいという特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害者は、陰謀論型のネット中傷をするリスクが高いのです。
関連記事:「陰謀論とは?自己愛性人格障害の特徴」
陰口型
陰口型のネット中傷は、バッシングというよりかは、ただ陰口を垂れ流している状態です。
リアルの学校や職場、井戸端会議での陰口と同じことを、ネット上でしているだけなのです。
必ずしも相手を攻撃する意図はなく、ただ悪口に花を咲かせて、その場を楽しみたいだけなのです。
「自分が書いたコメントを本人が見ているかもしれない」という想像力が欠けているのが問題です。
陰口型のネット中傷をする人は、「自分が思ったことをそのまま書いただけ」と考えており、罪悪感を持ちません。
自己愛性人格障害は、性格が陰湿かつ幼稚で、陰口を好むという特徴があります。
そのため、自己愛性人格障害者は、陰口型のネット中傷をするリスクが高いのです。
まとめ
ネット中傷と自己愛性人格障害について解説しました。
どのタイプのネット中傷にも共通するのは、発信者に罪悪感がないことです。
自己愛性人格障害の代表的な症状に、「自分が悪いことをしたという自覚が持てない」というものがあります。
自己愛性人格障害者は、共感力・想像力が欠けており、被害者の気持ちを理解できないのです。
また、自己中心性が高いため、「自分は正しい、自分は間違っていない」という考え方をする傾向が強いです。
あなたの周りに、ネット中傷している人はいませんか?
SNS上のネガティブな話題をリアルで話している人は、ネット中傷に加担しているかもしれません。
ネガティブな話題を好む人がいたら、自己愛性人格障害を疑ってみましょう。
症状が進行すると、ネット上だけでなく、リアルでもトラブルを起こすようになり、周囲の人が巻き込まれてしまいます。
ネット上のことだから自分には関係ないと、甘く見ない方がいいでしょう。