自己愛性パーソナリティ障害とは?毒親・パワハラ上司・DVパートナー

自己愛性パーソナリティ障害(NPD:Narcissistic Personality Disorder)とは、他者をコントロールし、傷つけたり搾取したりする病気です。
自己中心性、特別意識、共感力欠如を特徴とし、男性にも女性にも見られる障害です。
毒親、パワハラ上司、DVパートナーは、自己愛性パーソナリティ障害の可能性が高いです。
親、上司、結婚相手といった身近な人が自己愛性パーソナリティ障害だと、人生が大きく狂わされてしまいます。

自己愛性パーソナリティ障害は、元々、自己愛性人格障害と呼ばれていました。
「人格障害」という呼び名が偏見を助長するおそれがあるという理由で、「人格」を英語の「パーソナリティ」に置き換えて、自己愛性パーソナリティ障害と呼ぶように変わりました。
しかし、このような馴染みの薄い英単語によって言葉の意味を誤魔化す方法は、病気の理解を妨げるという意見もあります。

自己愛性パーソナリティ障害の代表的な症状は、以下の3つです。
自己中心性…自分の思い通りにならないと気が済まず、癇癪を起こす
特別意識…自分は特別だと考え、感謝や謝罪の気持ちを持たない
共感力欠如…思いやりに欠け、人の気持ちや痛みが分からない

また、以下の症状が見られることもあります。
承認欲求…自分以外の人が目立つのが許せず、足を引っ張る
執着心…ターゲットに固執し、ストーカー化する
依存心…スピリチュアルやサロンに傾倒し、信者となる

自己愛性パーソナリティ障害は、甘やかされて育った人に発症する後天性の障害です。
子供の言うことを何でも聞く溺愛や、「あなたが一番」と過度にチヤホヤする親バカ、ダメな行動を注意せず好き放題にさせる放任主義などが原因となります。
甘やかされて育つと、「自分は特別だ」、「特別扱いされて当然だ」と認識し、そのまま大人になってしまいます。
このような認知の歪みのことを、「自己愛の肥大化」といいます。
平たく言えば、甘やかされて重度の我儘に育った結果が、自己愛性パーソナリティ障害なのです。
「叱らない子育て」、「個性を尊重する子育て」が持てはやされている現在、自己愛性パーソナリティ障害は増えていると考えられます。
自己愛性パーソナリティ障害は治る見込みがほとんどないため、大きな問題だといえるでしょう。

自己愛性パーソナリティ障害の人は、毒親やパワハラ上司、DVパートナーとなることが多く、立場の低い人がコントロールのターゲットとなってしまいます。

【目次・自己愛性パーソナリティ障害による人物像】

それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。

毒親

毒親とは、子供を自分の思い通りにコントロールしようとする親のことです。
自分の目標や理想を子供に押しつけ、子供に多くの要求をし、自分に従わせようとします。
また、スピリチュアルや新興宗教をしている毒親は、子供にもそれを強要します。
毒親は、自己愛性パーソナリティ障害者が、子供をターゲットとしている状態だと考えることができます。

毒親のコントロールは、自己愛性パーソナリティ障害で説明がつきます。
自己愛性パーソナリティ障害は、自分の思い通りにならないと不機嫌になったり、癇癪を起こしたりする子供じみた性格が特徴です。
そのため、不機嫌になった親からネグレクトされる、癇癪を起こした親から暴力を受けることを恐れ、子供は毒親の顔色を窺うようになります。
つまり、毒親は、機嫌や癇癪によって子供をコントロールしているのです。
「あなたのためを思って」、「親の苦労を分かっていない」といった恩着せや罪悪感を煽る言葉で、子供を縛ることも得意です。
優しい子供、大人しい子供、真面目な子供ほどコントロールしやすいため、毒親は助長します。
毒親は世間体を気にし、外面が良いことが多いため、外からは良い親だと勘違いされているケースも見られます。
自分の考えや思いばかりを話し、子供の話を碌に聞いていないのが見分けるポイントです。

関連記事:「毒親とは?自己愛性人格障害の特徴」

パワハラ上司

パワハラ上司とは、部下に高圧的に接し、過度の叱責や人格否定をする上司のことです。
自分の思い通りにならないと癇癪を起こし、暴言や暴力が出るタイプも多いです。
パワハラ上司は、自己愛性パーソナリティ障害者が、部下をターゲットとしている状態だと考えることができます。

パワハラ上司の高圧的なコミュニケーションは、自己愛性パーソナリティ障害で説明がつきます。
自己愛性パーソナリティ障害の価値観のベースは、序列意識です。
「目上は絶対的に偉い」、「目下は目上に従って当然」という考え方をします。
そのため、自己愛性パーソナリティ障害者による管理は、支配的なものとなるのです。
部下の状態をチェックし指示を出すという、適切なマネジメントはできません。
また、自己愛性パーソナリティ障害の症状に、共感力欠如があります。
これにより、部下に対する思いやりを持てず、暴力や暴言を受ける気持ちを想像することができません。
パワハラ上司は、部下を人だと思っておらず、仕事を処理するための駒だと思っているのです。
パワハラ上司は、部下に対しては強気である一方、自分の上司に対しては弱腰です。
目上には媚びへつらい、目下には横暴と、相手によって露骨に態度を変えるのが見分けるポイントです。

関連記事:「パワハラとは?自己愛性人格障害の特徴」

DVパートナー

DVパートナーとは、配偶者や交際相手に対する暴力を振るうパートナーのことです。
暴力はないものの、暴言やモラハラ、退職の強要などの精神的DVを行うケースも多いです。
DVパートナーは、自己愛性パーソナリティ障害者が、配偶者や交際相手をターゲットとしている状態だと考えることができます。

DVパートナーの暴力癖は、自己愛性パーソナリティ障害で説明がつきます。
自己愛性パーソナリティ障害者が暴力を振るうのには、2つの理由があります。
一つ目の理由は、自己愛性パーソナリティ障害の症状である癇癪による暴力です。
自分の思い通りにならず、カッとなった時に手が出るというものです。
暴力を振るった自分は悪くない、自分を怒らせた相手が悪いと、罪悪感を持つことはありません。
二つ目の理由は、自己愛性パーソナリティ障害特有のコントロール行動です。
暴力による恐怖心でパートナーをコントロールしようとしているのです。
本来、パートナーは対等のはずですが、自己愛性パーソナリティ障害は対等な関係性を好みません。
自分より下の存在を求め、自分の都合のいいようコントロールするのが、自己愛性パーソナリティ障害の行動原理です。
そのため、暴力や生活基盤を奪うことにより、パートナーを下の立場に追いやろうとするのです。
自己愛性パーソナリティ障害の執着心の強さから、DVパートナーはストーカー化することも多いです。
自己愛性パーソナリティ障害は親の甘やかしが原因であるため、親と共依存の関係であることが多いです。
マザコンかどうかや、親との距離感が見分けるポイントとなります。

関連記事:「DVとは?自己愛性人格障害の特徴」

まとめ

自己愛性パーソナリティ障害と毒親、パワハラ上司、DVパートナーとの関係について解説しました。
家庭や職場といった生活圏に自己愛性パーソナリティ障害者がいると、人生が狂わされてしまいます。
自己愛性パーソナリティ障害は、対等な人間関係を築くことができません。
自己愛性パーソナリティ障害者が求めるのは、自分より格下で、自分に従順な人のみです。

あなたの周りに、他者をコントロールしようとする人はいませんか?
自己愛性パーソナリティ障害の人とは、できるだけ関わらないようにし、距離を置くことが賢明です。
自己愛性パーソナリティ障害者は、言いなりにならない自立した人はターゲットにしません。
要求が多い人には、優しい対応をせずに、はっきりとNoを伝えることが大事です。