特別意識とは?自己愛性人格障害の特徴
特別意識とは、「自分は特別な存在である」という無意識的な感覚のことです。
特別意識を持つ人は、人を見下し、特別扱いを求める人間性となります。
特別意識を特徴とする病気といえば、自己愛性人格障害(NPD:自己愛性パーソナリティ障害)があげられます。
「特別意識=自己愛性人格障害」と言っていいでしょう。
特別意識が生まれる原因は、幼少期の育て方です。
親が子供の我儘を何でも聞いてやり、我慢することや満足することを覚えさせないと、特別意識を持った人間となってしまいます。
子供を甘やかす「溺愛」や、子供をチヤホヤと褒める「親バカ」が、特別意識を生んでしまうのです。
自己愛性人格障害の特別意識が引き起こす症状は、特別願望、序列意識、意見の無視です。
【目次・特別意識による症状】
それぞれの症状について、解説していきたいと思います。
特別願望を持つ
自己愛性人格障害者の多くは、特別願望を持つことが多いです。
自己愛性人格障害が特別願望につながるメカニズムにも、特別意識が関係しています。
思考が特別意識ベースであるため、他者から「特別な存在だ」と思われ、特別扱いされるのがあるべき状態だと認識しているのです。
自己愛性人格障害にとっての特別感とは、人から賞賛される容姿や肩書、ステータスなどです。
例えば、社長やクリエイティブ業といった特別感のある職業に興味を持つ傾向があります。
また、結婚相手として、自分に特別感を与えてくれるトロフィーワイフや高スペックパートナーを望みます。
しかし、願望があるからといって、理想の自分になれる訳ではありません。
自己愛性人格障害者の多くは、「理想の自分」と「現実の自分」のギャップに苛まれることになります。
ある程度「理想の自分」に近い場合は尊大で傲慢な性格となり、「理想の自分」からほど遠い場合は卑屈で陰湿な性格となります。
前者は強気タイプの自己愛人格障害、後者は弱気タイプの自己愛性人格障害だと分類できます。
例えば、前者は人を見下してパワハラをし、後者は妬み(ねたみ)・嫉み(そねみ)・僻み(ひがみ)でネット中傷をする傾向があります。
また、後者では、「自分の理想が叶わないのは社会のせいだ」と逆恨みし、大きな事件を起こすケースが出ています。
このように、自己愛性人格障害は特別意識により、特別願望モンスターとなるのです。
人を上下で見る
自己愛性人格障害者の多くは、序列意識が高く、人によって態度を変えることが多いです。
自己愛性人格障害が序列意識につながるメカニズムにも、特別意識が関係しています。
自己愛性人格障害者は、特別意識から「自分は優位な存在だ」と考えています。
しかし、現実では、先生や顧問、上司といった目上の存在が必ずいます。
この矛盾を解決するため、自己愛性人格障害者は序列に固執します。
つまり、目上の人物は自分より優位でも仕方がない「特例扱い」という論理で、自分を納得させているのです。
そのため、自己愛性人格障害者は、目上に媚びへつらい、目下を手下のように扱おうとします。
目上に媚びるのは、自分の利益のために目上を利用するという動機と、「目上を上手く利用できる自分は優位な存在だ」という満足感を得るという動機があります。
自己愛性人格障害者の中では、「利用する=優位である」という論理なのです。
このように、自己愛性人格障害は特別意識により、序列で満足感を得る人物となるのです。
人の意見や忠告を聞かない
自己愛性人格障害者の多くは、人の意見や忠告を聞かず、頑固であることが多いです。
自己愛性人格障害が頑固さにつながるメカニズムにも、特別意識が関係しています。
特別意識から「自分は人から指図される存在ではない」と考えているのです。
そのため、人との約束やルールを守らない、そのくせマイルールを人に押し付けるといった身勝手な人間性となります。
強気タイプの自己愛性人格障害者は、自信満々で人の意見を封殺し、我を通そうとします。
弱気タイプの自己愛性人格障害者は、表面的には従っているように見せ、誰も見ていない場では従わない面従背反となります。
症状が重いと、人から指示や指摘をされるのが我慢できず、仕事が長続きしなかったり、ニートになったりするケースも見られます。
もっと身近な例では、自動車の運転免許を返納しない高齢者があげられます。
多くの子供は高齢の親に返納するよう忠告しますが、子を見下す親は、子の忠告を聞き入れないのです。
また、自己愛性人格障害者は、甘い話を信じ人の忠告を無視するという性質から、詐欺のカモとなるケースも多いです。
しかし、例外もあります。
先に述べた通り、自己愛性人格障害は序列意識が強いため、目上の人の言うことは鶴の一声で聞き入れる傾向があります。
自己愛性人格障害者の行動を変えたい場合は、目上の人を味方に付けるのが最も簡単な方法です。
このように、自己愛性人格障害は特別意識により、頑迷な人物となるのです。
まとめ
自己愛性人格障害の特別意識について解説しました。
特別意識は、自己愛性人格障害特有の症状です。
特別意識を持つ人は、一風変わったところがあるため、面白い人物だと思う人もいるかもしれません。
しかし、そういった人物の変人エピソードは、冷静に見れば単なる我儘であることが多いです。
あなたの周りに、特別意識を感じる人はいませんか?
特別意識を持った人間は、意外に多いです。
強気タイプより、弱気タイプの方が潜在的な数が多いと考えられます。
どちらのタイプであれ、自己愛性人格障害者は人を見下し、利用しようとします。
特別意識を感じる人には深入りしないようにしましょう。