正義マンとは?自己愛性人格障害の特徴

正義マンとは、主にSNSなどのネット上で、自身の正義感に基づいて、他者をバッシングする人のことです。
正義マンの特徴は、特定のトピックに強い執着心を持ち、過敏に反応して、個人や団体を攻撃することです。
正義の悪魔に取り憑かれたかのような、歪んだ正義感に対して、違和感や嫌悪感を抱く人が多いです。
正義マンの主張は、基本的に正論であり、間違ってはいないのですが、攻撃的な文面で威圧する、誹謗中傷する、炎上させるといった、他者を傷つける行動は間違っています。
正義マンには、自己中心性、特別意識、共感力欠如などの精神的特徴が見られます。
そのため、正義マンは、自己愛性人格障害NPD自己愛性パーソナリティ障害)という病気の可能性が高いです。

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正義マンの存在は、SNSの普及によって、広く認知されるようになりました。
それ以前にも、正義感で暴走する人は存在しましたが、電話やFAX、手紙でクレームを入れるという手段だったため、外から認知されにくかったのです。
近年、正義マンが、ネットを取り巻く環境に悪影響を与えていることが指摘されています。
一番の問題は、正義マンによるネット中傷が自殺の原因となることでしょう。
正義マン本人は良いことをしているつもりでも、傍から見ると、悪いことをした人への成敗を建前とした、ネットイジメなのです。
正義マンに目をつけられ叩かれないよう、個人や企業が萎縮する動きも出ています。

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また、執着心が強い正義マンを利用した、炎上商法が蔓延するようになりました。
炎上商法とは、物議を醸す内容の動画やブログで正義マンを釣り、再生回数やアクセス数を稼ぎ、広告収入をあげる手法です。
これにより、ネット上に悪質なコンテンツが増加し、ネットを見ると不快な情報が目につくようになってしまいました。

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正義マンの例としては、マイノリティや差別の話題に敏感な「ポリコレ(political correctness)」、ブラックジョークや軽い悪ふざけに大げさに反応してクレームをつける「不謹慎厨」、災害時やコロナ禍において行動や娯楽を自粛するべきだと主張し監視する「自粛警察」などがあげられます。
正義マンのコメントの多くは、「○○すべき」、「○○するヤツはダメ」、「○○しないのは甘え」といった、指図や人格否定、同調圧力の内容です。
正義マンは、正義を笠に着たクレーマーのような存在で、自身の価値観を他者に押しつけるモラハラが、その本質なのです。
歪んだ正義感を持つ人が目立つことで、正義という言葉そのもののイメージが悪くなってしまうのは、とても残念なことです。

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なぜ、正義マンは、ネットに張り付いてアンチ活動やモラハラをするのでしょうか?
正義感によって他者を攻撃すると、脳に快楽物質が放出されることが知られています。
正義マンは、「正義感で他者を攻撃する」という行為の依存症になっていると考えられ、正義中毒とも呼ばれます。
そして、この正義感依存症の背後に、自己愛性人格障害(NPD)という病気が隠れていると考えられます。
自己愛性人格障害は、自己中心性、特別意識、共感力欠如を特徴とする病気です。
自己愛性人格障害者は、人の気持ちや価値観の多様性を理解できず、物事を自分中心にしか考えられません。
些細なことでイライラする気質のため、ストレスを発散する手段を求めるようになるのです。
そのため、自己愛性人格障害の二次障害として、正義中毒のような依存症を発症するケースがあるのです。

【目次・正義マンの特徴】

それぞれの特徴について、解説していきたいと思います。

自分は絶対に正しいと思い込んでいる

正義マンは、自己中心性が強く、自分は絶対に正しいと思い込んでいるという特徴があります。
マイルールを他者に押しつけ、少しでも自分の思い通りにならないと、不満を募らせます。
正義マンは、自分の思い通りにならないと気が済まないモラハラ気質なのです。
リアルでパワハラやモラハラをするには、立場の優位性が必要であり、誰でもできる訳ではありません。
しかし、匿名のネットであれば、バッシングのハードルが低いため、モラハラ正義マンがたくさん出没してしまうのです。

正義マンは、正しい考えに基づいて、正しいコメントをしているつもりです。
独善的な正義マンは、自身の攻撃性に鈍感であり、自分は正しいことをしていると思い込んでいます。
しかし、実際は、自分が認めない相手を攻撃してスカッとすることに依存する、正義中毒です。
正義は、自己正当化する都合のいい方便であって、他者を攻撃してストレス発散することが目的になっています。
「みんなのためにルールを守るべき」、「弱者に配慮すべき」といった大義を振りかざしますが、自分の思い通りにならない人を叩きたいという、小さな目的がモチベーションとなっているのです。

自己愛性人格障害の主な症状に、自己中心性があります。
自己中心的な人には二種類あり、ルールを守らないタイプと、ルールに固執するタイプがいます。
ルールを守らないのも自己中心性ですが、マイルールを押しつけるのも自己中心性なのです。
正義マンは、マイルールを押しつける自己中心性によって、自己満足、独りよがりと言われるのです。

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マジメな自分は偉いと思っている

正義マンは、自分に特別意識があり、マジメな自分は偉いと思っているという特徴があります。
いい子ぶりっ子が学校で優等生アピールをするのと同じで、正義マンはネット上で優等生アピールをしているのです。
そのため、正義マンは、正義中毒であるのと同時に、いい子症候群であるといえます。
模範的な自分にこだわりが強く、正義感や倫理観のある人だと褒められたいのです。
自分の正義コメントに「いいね」が付くことで、承認欲求を満たすことも、動機となっています。

正義マンは、レッテル張りを好み、些細なことで他者をダメな人認定し、見下します。
「ダメな人は叩いてもいい」という独自の差別感情に基づき、バッシングを行います。
自分はバッシングしてもいい人間、あの人はバッシングされてもいい人間、という選民思想を持っているのです。

また、正義マンは、倫理や法律を考えられる自分は頭が良いと、自惚れています。
しかし、正義マンのコメントは、価値観の似ている他人のコメントの受け売りやテンプレであることが多いです。
正義マンは自分の頭で考えているつもりでも、実際は思考停止で同調圧力に加わっているだけで、頭が悪いのです。
正義マンは、ダメな人だと見下した相手を攻撃しますが、他者を攻撃する人がダメな人であることにすら、気がつきません。

自己愛性人格障害の主な症状に、特別意識と承認欲求があります。
自分は偉い、自分は正しいという特別意識と、それを周囲に認められたいという承認欲求は、セットになっていることが多いです。
正義感や倫理観を自己アピールの材料として利用するため、表面的で薄っぺらい印象となります。
正義マンの正義感や倫理観は、ただのファッションなのです。

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人の気持ちが分からない

正義マンは、共感力が欠如しており、人の気持ちが想像できないという特徴があります。
正義マンは、マイノリティの気持ちも、マジョリティの気持ちも分からず、自分の思いだけで行動します。
バッシングによって追い詰められる人の気持ちも、想像できません。
そのため、自分が悪いことをしているという自覚がなく、罪悪感を抱くことも、反省することもありません。

正義マンは、「○○な人の気持ちを考えろ」、「○○な人に配慮するべき」というコメントをすることが多いです。
しかし、正義マンは直接の知り合いとして、弱者やマイノリティと接している訳ではありません。
弱者やマイノリティはこう感じるはず、という独りよがりな想像だけで行動しているのです。
正義マンは、自身の正義ワールドの中で、仮想被害者を擁護し、仮想敵を攻撃しているのです。

自己愛性人格障害の主な症状に、共感力の欠如があります。
共感力が欠如すると、人の気持ちが想像できず、自分の価値観や思いだけで行動するようになります。
独りよがりな行動によって、相手を傷つけたり、迷惑をかけたりしても、自己満足で開き直ってしまいます。
正義マンの行動は、自分が満足するためであり、本当の意味で人を助けたり守ったりするためではないのです。

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まとめ

正義マンと自己愛性人格障害の関係について解説しました。
正義マンの行動原理は、自己愛性人格障害の自己中心性、特別意識、共感力欠如です。
自己満足を得ることしか頭になく、他者の気持ちを想像することができません。
正義マンは、独善的であり、客観的に物事を見られないため、暴走してしまうのです。

あなたの周りに、正義マンはいませんか?
正義マンは、リアルの出来事に対してもイライラを募らせ、他者を攻撃できる状況であれば、攻撃します。
リアルでパワハラやモラハラをする人は、ネットで正義マンをしている可能性が高いです。
逆に、ネットで正義マンをしている人は、パワハラ予備軍なので、警戒した方がいいでしょう。
パワハラ予備軍を見抜くには、その人のSNSアカウントをチェックするといいでしょう。