Web3とは?仮想通貨・ブロックチェーン・非中央集権化

Web3とは、Web2.0で進んだインターネットの中央集権化を否定し、インターネットの非中央集権化を目指すものです。
ブロックチェーン技術による暗号資産(仮想通貨)をベースとしたシステムにより、プラットフォーマーの存在しないインターネット世界を実現しようとしています。
Web3の流れで誕生したものには、NFT、DAO、DeFiなどがあります。
インターネットの理想を追求することが目的の人もいれば、ITの技術革新が目的の人もいれば、投機目的の人もいるのが現状です。

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Web3は、2021年末から一気に話題になった新しいムーブメントです。
インターネットを一変させる大革命になるのではないかと、期待している人もいます。
Web3は、2014年にギャビン・ウッド(暗号資産イーサリアム創設者の一人)がブログで、「Web上のプロトコルや技術、さらにインターネットは、再構築される必要がある」と発信したのが始まりだといわれています。
そして、2021年、アメリカの大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツが、「国としてWeb3のイノベーションを導くべき」と提言して、IT関係者以外にも注目されるようになりました。
2022年3月、アメリカのバイデン大統領が、デジタル資産の技術革新を促す大統領令に署名し、国としてWeb3に取り組む姿勢を示しました。

では、Web3とは一体どのようなものなのでしょうか?
Web3を理解するための3つのキーワードが、非中央集権化、ブロックチェーン、暗号資産(仮想通貨)です。
これらのキーワードを解説する前に、まずはインターネットの歴史について簡単に説明したいと思います。
インターネットの歴史が分かっていないと、なぜWeb3という概念が生まれたのか理解できないからです。

Web1.0(1995-2005)は、インターネット上の情報の流れが一方向だった時代を指します。
1995年にパソコン用基本ソフト「Windows95」が発売されたのが、Web1.0の始まりだといわれています。本格的なGUIと充実したネットワーク接続機能を備えていたことから、一般人でも比較的簡単にインターネットにつながれるようになりました。これ以降、IT革命が加速しました。
しかし、Webページを作って情報発信できたのは、IT知識がある一部の人や企業(インターネット利用者全体の約20%)だけであり、一般ユーザーは検索サイトを利用してページを閲覧するだけでした。
このような、個人がインターネットの情報を見るだけの時代が、Web1.0とされています。

Web2.0(2005-2020)は、インターネット上で情報が双方向にやり取りできるようになった時代を指します。
ブログサービスやSNSの登場で、IT知識のないユーザーでも、情報発信したり、コミュニティーを作って交流したりできるようになりました。
さらに、2008年にiPhone3Gが発売され、様々なSNSや動画投稿サイトが登場しました。これにより、個人の情報発信やコンテンツの公開は、より手軽になりました。
このような、誰もがインターネットに情報を発信し、共有する時代が、Web2.0とされています。

とても便利になったWeb2.0ですが、問題を指摘する人が現れるようになりました。
その問題とは、インターネットの個人データが、一部のプラットフォーム企業(GAFAM)に集中するようになったという点です。
GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)は、検索エンジンやSNS、ネットショッピングなどの市場で世界のトップシェアを誇ります。
Web3は、このデータの寡占状態による中央集権化を打ち破ろうと生まれた概念なのです。
Web3は、ブロックチェーン技術による暗号資産をベースとしたシステムにより、非中央集権化を実現することを目指しています。

【目次・Web3のキーワード】

それぞれのキーワードについて、解説していきたいと思います。

思想キーワード:非中央集権化

インターネット哲学には、リンク(つながり)、シェア(共有)、フラット(対等)の三要素があります。

・インターネット上でリンクを貼ることで、別の情報につなげることができる。
・インターネット上の情報を、みんなで共有することができる。
・インターネット上で、誰でも対等に情報を発信することができる。

インターネットの理想は、中央で管理する存在がなくても秩序が維持される、非中央集権(decentralized)だと考えられています。
そのため、GAFAMを通さないと情報のやり取りができないWeb2.0は中央集権になってしまったと、問題視する人が出てきたのです。

一般ユーザーにとって、GAFAMはインターネットを利用する上で、必要不可欠な存在です。
しかし、インターネットの理想に共感する人にとっては、GAFAMはデータと価値を支配する存在です。
ヨーロッパを中心に、GAFAMをゲートキーパー(門番)と呼び、揶揄する風潮が生まれました。
さらに、アメリカにおいても、GAFAM解体論が唱えられるようになりました。
GAFAMのようなプラットフォーマーに管理されない新しいインターネットの世界が叫ばれるようになったのです。
このような経緯で、Web2.0で行き過ぎた中央集権化を否定し、インターネットの理想である非中央集権化を目指す、Web3の概念が誕生しました。

では、Web3はどのようにして、実現されるのでしょうか?
インターネットの非中央集権化を実現する技術が、ブロックチェーンです。

技術キーワード:ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、インターネット上の全ての取引を記録するデジタルの台帳のことです。
2008年に、暗号資産ビットコインの公開取引台帳として発明された革新的な技術です。
暗号技術により、過去から現在までの取引データの要約を含む形で、ブロックと呼ばれるレコードが記録されていきます。全ての取引データ(ブロック)が一本の鎖のようにつながっているため、ブロックチェーンと呼ばれます。
ブロックチェーンには以下の特徴があります。

・分散システムであり、データが不特定多数のPCに分けて管理される。
・改竄が極めて難しいため、データの信頼性が高い。
・データがオープンであり、いつでも誰でも全ての取引履歴を検証できる。

ブロックチェーンは分散システムであり、データが一カ所に集中しないのがポイントです。
Web2.0は、企業のサーバーにデータを集めて保存する中央集権的なシステムとなっています。
それに対し、Web3では、ブロックチェーンによってデータを分散管理することで、非中央集権的なシステムを実現するのです。

近年では、ブロックチェーンの技術は、暗号資産以外の分野でも広く利用されつつあります。
日本は、Web2.0の技術面においてグローバルに成功することができなかったため、ブロックチェーン技術の開発を推し進めることで、巻き返しを図ることが期待されています。

では、Web3はどのようにして、ビジネスとして利益を生み出すのでしょうか?
非中央集権的インターネットで利益を生み出す源が、暗号資産(仮想通貨)です。

金融キーワード:暗号資産(仮想通貨)

暗号資産とは、ブロックチェーンで管理され、特定のコミュニティー内で流通するデジタル通貨のことです。
日本では、暗号資産は仮想通貨という呼び方で定着しています。
有名な仮想通貨には、イーサリアムやビットコインがあります。
仮想通貨は取引所を介して、法定通貨に変えることもできます。
仮想通貨は、株や為替のように価値が変動するため、投機目的で購入したり、人に勧めたりする人も多いです。

Web3では、仮想通貨によってお金のやり取りを行います。
NFT、DAO、DeFiは、いずれも仮想通貨をベースとしたシステムとなっています。
Web3の問題点として、仮想通貨を利用して一儲けしたい人が多く集まっている点があげられます。
Web3本来の目標であるインターネットの理想などに興味がなく、ブームに乗って荒稼ぎしたいだけの層がWeb3のイメージを悪くしてしまっている現状があります。

まとめ

Web3の概念と、非中央集権化、ブロックチェーン、暗号資産について解説しました。
Web3はつい最近始まったばかりで、発展途上の段階です。
Web3には、インターネットの理想を追求するという側面、新たなIT技術でリードしようとする側面、投機のターゲットにされている側面があります。
人や企業によって、Web3に参画する目的や思惑が異なり、混沌とした状態なのが現状です。
私自身は、仕事でWeb3に関わっている訳でも、仮想通貨を購入している訳でもありません。
Web3の流れが、今後どのようになっていくのか、客観的な立場でウォッチしていきたいと思います。